糖尿病が歯にも影響?
5大疾病の1つでもある糖尿病ですが実は歯周病と関係があることをご存じでしたか?
この2つには密接な関連性があり、互いに影響を及ぼし合います。
今回はお互いが与える影響についてお伝えしていきます。
- 糖尿病が歯周病に与える影響
糖尿病患者は血糖コントロールが悪いと、口腔内の環境が悪化し、歯周病リスクが高まります。
主な影響は以下の通りです
• 免疫機能の低下
高血糖状態では白血球の機能が低下し、細菌への抵抗力が弱まります。
これにより、歯周病の原因である歯周病菌が増殖しやすくなり、炎症が発生・悪化しやすくなります。
• 血管障害
糖尿病は血管にダメージを与えるため、歯周組織への血流が悪くなり、組織の酸素供給や栄養供給が
不十分になります。これにより、組織が脆弱になり、歯周病が進行しやすくなります。
また、治癒に時間がかかり、慢性化しやすいという傾向もあります。
• 口腔内乾燥
糖尿病患者は唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥しやすくなります。
唾液は細菌を抑制し、歯を保護する役割を果たしているため、
乾燥によって歯周病菌が増殖しやすくなります。
- 歯周病が糖尿病に与える影響
逆に、歯周病が糖尿病を悪化させる理由もあります。
歯周病が糖尿病に与える影響のメカニズムは以下の通りです。
• 炎症反応とインスリン抵抗性
歯周病は口腔内の炎症性疾患であり、体内に炎症性サイトカインが放出されます。
これにより、体全体での炎症反応が高まり、インスリンの効果が弱まる「インスリン抵抗性」を
引き起こします。結果として血糖値が上昇しやすくなり、糖尿病が悪化します。
• 慢性的な負担
歯周病の慢性的な感染状態が続くと、体が常に感染と闘う状態になるため、
血糖値が上昇する原因となります。
特に炎症が重度になると、血糖コントロールがより難しくなるため、
歯周病治療が糖尿病の管理にも役立つことが示されています。
- 双方向のケアの重要性
糖尿病と歯周病が互いに影響を及ぼし合うため、相互のケアが非常に重要です
複数の研究で、歯周病の治療が糖尿病患者の血糖値管理に良い影響を与えることが示されています。
歯周病を治療することで、口腔内の炎症が抑えられ、体全体の炎症負荷が軽減されます。
これにより、インスリン抵抗性が改善し、血糖コントロールが向上するケースが多いとされています。
• 糖尿病管理の影響
一方で、血糖値が良好に管理されている糖尿病患者は歯周病の進行が抑えられることが
わかっています。血糖値が安定することで免疫機能が改善され、
口腔内の健康が保たれやすくなります。
- 実際の予防・対策
糖尿病患者が歯周病予防やケアに取り組む際には、以下のポイントが推奨されます。
•歯周病治療
原因である歯垢の除去および歯石の除去や、ぐらぐらする歯の咬み合わせの調整、
歯周病の原因を一つひとつ取り除く治療をしていきます。
• 適切な口腔ケア
日々のブラッシングやフロス、歯間ブラシの使用を徹底し、プラークや歯石の蓄積を防ぎます。
口腔内を清潔に保つことが、歯周病の予防と進行防止につながります。
本記事作成者
大阪市 心斎橋 WellnessDentalClinic
歯科衛生士 坂口